犬と旅行する車のおすすめは何か。犬と車中泊もするなら、何を見て選べばいいのか。小型犬(ミニチュアシュナウザー)と妻と3人で1泊2泊の旅に出るために、私は7車種を比べました。
探しはじめたとき、条件の一番上に置いたのは「排気量1,500cc以下」です。自動車税を抑えたかったからです。
結果として買ったのは、2.4Lの三菱アウトランダーPHEV(GG3W)です。
条件は、ほぼ全部ひっくり返りました。どこで、何を理由にひっくり返っていったのか。同じように「犬を乗せる車」を探している人の役に立つと思うので、順番に書きます。
犬と旅行する車を探しはじめた理由|ジムニーで高速を走った日
当時の私の車はスズキ・ジムニー(JB64)でした。人生2回目のJB64です。気に入っていました。
きっかけは、奈良から琵琶湖バレイまで走った日です。犬は乗せていませんでした。高速道路での安定性が、どうしても気になったのです。横風とエンジン音で、着いたときには疲れていました。
これから犬を連れて、妻と1泊2泊の旅行に出ようとしている。その道具として、この車でいいのか。そう思ったのが始まりでした。
ちょうど同じ時期に、妻の車がN-WGN(ターボ)からN-ONEに替わることも決まっていました。以前四国へ行ったとき、N-WGNのほうがあまり疲れなかった記憶があったのも、頭の隅にありました。
犬を乗せる車に、最初に立てた10個の条件
探しはじめたときに書き出した条件が、そのまま残っています。
- 排気量1,500cc以下(自動車税を抑えたい)
- 燃料はレギュラーか軽油
- 燃費はできれば20km/L以上
- AC1500W給電
- パノラマモニター
- シートヒーター
- ハンドルヒーター
- ワンボックスかSUV
- 電動パーキング
- サンルーフはほしいけれど、これは我慢できる
寒がりなので、ヒーター類は本気です。給電は、旅先で電気を使いたかったから。この10個のうち、最後まで生き残ったのは9つでした。落ちたのは、一番上の1つだけです。
犬と旅行する車の候補7車種と、脱落した理由
| 候補 | 脱落した理由 |
|---|---|
| トヨタ カローラクロス | 1,800cc。1,500cc以下という一番上の条件から外れた |
| トヨタ ヤリスクロス | 条件は満たす。ただし以前乗っていた。後席の狭さを知っていた |
| レクサス UX/NX/RX | 中古は安いが2,000cc超。しかも1500W給電が付いている個体は限られる |
| ダイハツ ライズ/トヨタ ロッキー | 装備の組み合わせが揃わない |
| シトロエン ベルランゴ | 見た目も広さも理想的だった。故障が多いと聞いて断念 |
| トヨタ シエンタ | ここが長かった。次の章に書きます |
| 三菱 エクリプスクロスPHEV | 犬と機材と車中泊の道具を積むと、荷室が足りない |
ベルランゴは、いま思い出しても惜しい車でした。旅先で止まると、困るのは犬です。そこだけで諦めました。
犬に優しい車として、いちばん長く本命だったシエンタ
検討の記録を数えると、シエンタは200回以上出てきます。犬連れという条件で見ると、この車には決定的な長所がありました。
床が低い。地上から33cm
現行シエンタは、乗り込み口が地上から33cmしかありません。階段1段ぶんです。
ジムニーは「よいしょ」と乗り込む高さです。旅先では、犬の乗り降りが1日に何回もあります。そのたびに足腰へ負担がかかると考えると、33cmという数字は大きく見えました。荷物を抱えた妻にとっても、スライドドアと低床の組み合わせは楽です。
5人乗りか、7人乗りか
夫婦と小型犬なら5人乗りで十分だと思っていました。調べてみると、逆でした。
- 7人乗り|3列目を2列目の下に収納できる。3列目を消すと荷室の奥行きは99cm。2列目は前後にスライドする
- 5人乗り|2列目は固定でスライドしない。荷室の奥行きは84cm
2人+犬で使うなら、7人乗りのほうが荷室が広い。ケージを置いて、2泊3日分の荷物を載せても余ります。こういうことは、実際に条件を書き出して比べないと出てきません。
150万円の個体まで詰めました
現行シエンタが150万円で出ているのを見つけました。相場より80〜100万円安い。理由を確かめるとレンタカーアップでした。
ここで止まりました。理由は2つです。
- 電動パーキングが付いていない。シートヒーターは自分で仕込めます(前に乗っていた車で、シート表皮を剥がして内蔵したことがあります)。パノラマモニターもカメラを足せばなんとかなる。でも電動パーキングだけは後付けできません
- 匂い。不特定多数が乗った車です。前の利用者のタバコや芳香剤が残っていないか、犬を乗せるなら確かめる必要がありました
電動パーキングとブレーキホールドは、高速の渋滞と信号待ちで効きます。旅の終わりの疲れ方が変わる装備です。ここを妥協すると、ジムニーから乗り換える意味が薄くなる。そう考えて、この個体は見送りました。
🔴 条件がひっくり返った瞬間
シエンタで詰まっているうちに、自分が何を優先しているのかが見えてきました。旅先で車中泊を犬連れですることも、頭のどこかにありました。
私がほしかったのは「税金の安い車」ではなく、「旅先で電気が使えて、静かな車」でした。
1,500cc以下という条件は、自動車税のための条件です。目的ではありません。そこに気づいてしまうと、順番が入れ替わりました。
そして候補に残ったのが、以前に一度乗っていたアウトランダーPHEVでした。2.4Lです。条件の一番上から、完全に外れています。
犬を乗せる車に選んだのは、2019年式・3.6万kmのアウトランダーPHEV
最終的に手に入れたのは、こういう車です。販売店の名前は伏せます。
| 車 | 三菱 アウトランダーPHEV GG3W(2.4L)/Gプラスパッケージ/グレー |
| 年式・走行 | 2019年式・3.6万km |
| 装備 | 電気温水ヒーター、サンルーフ、AC1500W給電 |
| 支払総額 | 209.8万円(見に行った日に30万円下がりました) |
| ジムニーの売却 | 175万円 |
| 実質の持ち出し | 約35万円 |
最後まで、もう1台と迷っていました。6.8万km・1年古いSエディションです。装備は上ですが、距離が半分という一点で、こちらにしました。
正直に書くと、決め手として自分に言い聞かせていたのは電気温水ヒーターでした。ところが検討の途中で「よく考えたら電気毛布でなんとかなる」と自分で気づいてしまい、最後に残った理由は「3.6万kmという機械的な新しさ」だけになりました。
条件と、結果
| 最初の条件 | 買ったGG3W |
|---|---|
| 排気量1,500cc以下 | ❌ 2.4L |
| レギュラーか軽油 | △ レギュラー。ただし電気でも走る |
| 燃費20km/L以上 | ○ PHEV |
| AC1500W給電 | ○ |
| パノラマモニター | ○ |
| シートヒーター | ○ |
| ハンドルヒーター | ○ |
| ワンボックスかSUV | ○ SUV |
| 電動パーキング | ○ |
| サンルーフ(我慢できる) | ○ 付いていた |
捨てたのは、一番上の1つだけでした。その1つが、探しはじめた理由そのものだったのが、この話の面白いところです。
1,500ccを捨てた代金は、年に1万円ちょっと
気になるところなので、書いておきます。自動車税(種別割)は排気量の区分で決まります。
- 1,000cc超1,500cc以下|年30,500円
- 2,000cc超2,500cc以下|年43,500円(初度登録が2019年10月より前の車は45,000円)
差は年に1万3,000円ほど。月にすると1,100円です。一方でPHEVは電気でも走るので、走り方によっては燃料代のほうが大きく動きます。「税金のために排気量を絞る」という発想自体が、この車に関しては成り立たなかったというのが、乗ってみてからの実感です。
犬と車中泊するなら、どこを見て選ぶか
買ってから、この車で車中泊もするようになりました。犬を連れて車中泊をするなら、カタログの数字より先に確かめてほしいことが3つあります。私がメジャーを当てて測った実物で書きます。
① 本当にフラットになるか(段差の有無)
「フルフラット」と書いてあっても、実際は荷室と倒した背もたれの間に段差や傾斜が残る車が多いです。犬は、その段差の谷間で寝ます。人間は寝袋やマットでごまかせますが、犬は落ち着ける平らな面がないと、ひと晩そわそわしています。

GG3Wは、座面を前に跳ね上げてから背もたれを倒すダブルフォールディングです。荷室の床から倒したシートの裏側まで、傾斜のない水平面になります。実際に寝てみて、段差の違和感はありませんでした。
② 長さ。うちは195cm+でした
バックドア側の端にメジャーを引っ掛けて前席の背もたれまで伸ばすと、195cmを少し超えたところで止まりました。家庭用のシングルマットレス(長さ195cm前後)がそのまま入る寸法です。

ここが犬連れだと効きます。大人2人が足を伸ばして寝て、その足元や脇に犬の居場所が残るか。長さが足りない車だと、犬は人の脚の上に乗ることになります。測るのはメジャー1本で済みます。買う前に、現車でやらせてもらってください。
③ エンジンを止めたまま、電気が使えるか
これが犬連れの車中泊でいちばん大きいと思っています。
普通の車は、夏や冬に車内の温度を保とうとするとエンジンをかけっぱなしにすることになります。音も振動も出るし、周りにも気を使います。PHEVは駆動用バッテリーが大きいので、エンジンを止めたままエアコンを効かせられて、AC1500Wのコンセントで車載冷蔵庫も電気ケトルも扇風機も動きます。

犬は自分で「暑い」と言えません。温度を保てる手段があるかどうかは、装備の好みではなく安全の問題だと考えています。
なお、車中泊そのものの詳しい実測(寝心地、電力がどれだけもつか、深夜にエンジンがかかった話)は、別のブログにまとめています。
犬連れの旅行で、実際に効いた装備はどれか
買ってから、この車で犬と何度も出かけました。条件表の上では「○」でも、実際に効いたものと、そうでないものがあります。
- AC1500W給電|いちばん効きました。車内で電気ケトルも扇風機も動きます。山陰へ行く計画でも、これが前提になっています
- 車高|四国のスーパー林道で助かりました。轍の真ん中に草が生えているような道で、普通の乗用車ならパンクしていたと思います。後ろには犬が乗っています
- 後席と荷室|倒せばフラットになります。車中泊も試しました
- 静かさ|モーターで走っているあいだは、ほぼ無音です
逆に、シエンタで魅力に見えた「低床33cm」は、手に入りませんでした。アウトランダーはSUVなので、床は高いです。犬の乗り降りは、いまも抱えて乗せています。ここは条件を落とした側です。
なお、車内での固定は6年間していません。すすめられる話ではないので、そちらの記事に正直に書きました。
犬を乗せる車の選び方|同じように探している人へ
条件を10個書き出して探して、最後に1つを捨てた人間として、伝えられることが3つあります。
- 条件には、目的と手段が混ざっています。「1,500cc以下」は手段でした。目的は維持費を抑えることで、その先の目的は、旅に多く行くことです。手段は、あとで入れ替わります
- 後付けできない装備を先に決めてください。シートヒーターは仕込めます。電動パーキングは無理です。ここを間違えると、安く買った車に不満が残ります
- 犬の条件は、数字で見ると具体的になります。乗り込み口の高さ、荷室の奥行き、後席の窓の大きさ。どれもカタログに載っています
ちなみに、この車の前に乗っていた1台目のアウトランダーPHEV(GG2W)は、走行10万km超えの中古でした。そちらは買った経緯と、2年で手放すまでを別に書いています。自宅に200Vのコンセントを増設した話も、そのときのものです。

