犬と行く四国・九州5泊6日、3日目(6月10日)です。この日、四国から九州へ渡りました。
使ったのは国道九四フェリー。愛媛の三崎港から大分の佐賀関まで、車ごと乗って約70分の航路です。
そしてこの日は、予定になかった場所に2つ寄った日でもあります。ひとつはランチの店、もうひとつはその店のオーナーに教えてもらった扇形機関庫。どちらも旅程表には1行も書いていませんでした。
最後は黒川温泉のとなり、小田温泉の宿へ。黒川温泉に犬と泊まれる宿がほとんど無かったので、そうなりました。この話も書きます。
この日の行程と費用
| 8:28 | 三崎港に到着。乗船待ちのレーンに並ぶ |
| 9:30 | 国道九四フェリー 三崎港 出港(車ごと乗船) |
| 10:40ごろ | 佐賀関(大分)に上陸 |
| 12:43〜13:20 | ハウンズカフェレオン(大分県玖珠町・店内犬OK)でランチ |
| 13:42〜14:12 | 豊後森駅と豊後森機関庫(オーナーに教えてもらった寄り道) |
| 16:00 | 小田温泉「花心」にチェックイン |
| 18:00〜19:30 | 夕食(食事処・創作会席) |
| この日のフェリー代 | 11,120円(大人2名+乗用車5m未満1台・ネット割引適用後) |
| この日の宿泊費 | 47,090円(2名1泊2食/別途ペット料金と入湯税) |
| 走行 | 約100km+フェリー70分 |
国道九四フェリーで四国から九州へ|三崎港→佐賀関
四国の西のはしから九州へ渡る船です。愛媛県伊方町の三崎港から、大分市の佐賀関まで。前日に泊まった瀬戸アグリトピアからは、車で15分ほどでした。

九四フェリーの時刻表と所要時間|毎時30分発、7:30から23:30まで
港の建物の上に、大きく書いてあります。「毎時30分発 7:30〜23:30」。
つまり朝7時半から夜11時半まで、1時間おきに出ています。「九四フェリー 時刻表」で調べる前に、この一枚を覚えておけば、だいたいの見当はつきます。本数が多いので、多少ずれても次の便に乗れます。
予約はネットから。乗船券はQRコード
私たちはネットで9時30分発を予約しておきました。発券はQRコードです。紙のきっぷを窓口で買う必要はありません。
旅程表を作った段階では「平日だから当日でも乗れるだろう」と考えていたのですが、結果的に予約しておいて正解でした。理由は次の料金の話です。
🔴 料金|ネット予約で、概算より1,800円安くなった
実際の予約内容がこれです。
| 便 | 2026年6月10日 三崎 9:30発(船は「速なみ」の予定) |
| 人数・車 | 一般席 大人2名/乗用車5m未満 1台 |
| 運賃合計 | 11,120円(燃料油価格変動調整金を含む) |
| 適用された割引 | インターネット割引(1名分+1台分) |
| さらに事前決済すると | 10,790円(事前決済割引が1名分+1台分) |
旅行前に作った旅程表では、この区間を約12,920円と見積もっていました。実際は11,120円。ネットで予約するだけで、1,800円ほど下がったことになります。クレジットで事前決済まで済ませれば10,790円でした。
車で乗る船は、車の長さで値段が変わります。「5m未満」というのがひとつの区切りです。予約のときに車のナンバーを登録するので、車検証を手元に置いてから始めるとスムーズです。
🔴 出航30分前までに港へ。遅れると予約が無効になります
予約の確認メールに、はっきり書いてあります。
出航30分前までに乗船港に到着されない場合は、予約が無効になりますのでご注意ください。
9時30分の便なら、9時00分までに港に着いていないといけない、ということです。私たちが港に着いたのは8時28分。1時間前です。着いたときには、もう乗船待ちのレーンに車が並び始めていました。
犬を乗せていると、途中でトイレ休憩が入るのが普通です。港までの道も細い。この「30分前」は、犬連れだと思っている以上に効いてきます。早めに出ることをおすすめします。
ちなみに、予約の変更・取消はネットからできますが、乗船日の前日23時を過ぎるとネットでは変更も取消もできません。その先は港へ電話です。
犬はどうしていたか|車には残さず、キャリーで客室へ
乗船待ちの列に並んでいる間、トリコはダッシュボードに前足をかけて、ずっと外を見ていました。

この日のわが家の判断は、車には残さないでした。船倉の車両甲板は、航行中は原則として立ち入れません。犬だけを車に置いておくと、着くまで様子を見に行けないということです。
なのでキャリーバッグに入れて、客室へ連れて上がりました。予約明細に犬の料金は載っていません(大人2名と車1台だけです)。
ただしペットの扱いは会社と航路で違います。「車内に残す」「甲板のケージ」「客室持込可」と、本当にばらばらです。乗る前に必ず確認してください。
🔴 船室に椅子はありません|どこに座ればいいのか、分からなかった
客室に上がって、まず困りました。椅子がありません。カーペット敷きの広い船室に、めいめいが直に座る形です。

勝手が分かりません。どこに座っていいのか、犬をどうすればいいのか。キャリーを提げたまま、しばらく突っ立っていました。
見ると、まぁまぁ広い区画に女性がひとりだけ座っています。妻がおそるおそる、「ここ、いいですか」と聞いてくれました。どうぞ、と。それでようやく腰を下ろせました。
犬連れで乗るなら、ここは知っておいて損がありません。指定席ではありません。空いている場所に、ひと言断って座る。床に座るので、犬のキャリーもそのまま横に置けます。
ちなみに壁の札には「速なみ 船長 点検済み」とありました。予約のときに「速なみ予定」と書かれていた、そのままの船です。船室にはテレビも点いていました。
🔴 キャリーに入らない。入れたら、今度は固まる

まず、入れるところから手こずりました。うちのキャリーは6年ぶりです。ふだん車の移動でも宿でも使わないので、犬にとっては見慣れない箱でしかありません。
なかなか暴れて、入ってくれませんでした。前の扉を開けて横から押し込もうとしたのですが、まるでだめ。結局、天面を開けて上から下ろしたら、わりとあっさり入りました。狭い穴に頭から押し込まれるのと、上からそっと下ろされるのとでは、犬にはまるで違うのだと思います。
🔴 キャリーを買うなら、天面が開くものを。これは、うちが実際に困って学んだことです。
そして、入れたあとがこれです。入れた姿勢のまま、まったく動かなくなりました。
目は開いています。呼べば見ます。でも伏せたまま、じっとしている。船のエンジンの振動と音、それに揺れが、犬にはかなり強い刺激だったのだと思います。
面白いのは、同じ旅の帰りに乗った宮崎カーフェリーでは、すんなり入ったことです。別の航路、別の船なのに、暴れも固まりもしませんでした。「その船に慣れた」のではなく、「キャリーそのものに慣れた」ということだと思います。この話は、キャリーバッグの記事にくわしく書きました。
→ 小型犬とフェリーに乗るときのキャリーバッグの話(6年で3回の実際)
🔴 相席になったのは、佐田岬の漁師さんご夫婦でした
しばらくすると、その女性のご主人がやってきました。座らせてもらった手前もあって、少し話をしました。
聞くと、佐田岬の漁師さんでした。大分へ渡る理由も教えてくれました。脳の病気で一度倒れて、手術を受けた。大分に脳では名の知れた病院があるそうで、そこで手術をして、いまも2か月に1度ほど通っている——この船は、そのための船だったわけです。
そして、このご主人がたいへんな話好きでした。70分の航海の、ほとんどをしゃべっていました。
いちばん覚えているのは、この話です。「せっかく大分まで来るのだから」と、通院のたびに別府温泉で一泊して、うまいものを食べて帰る。しかも宿は毎回変える。それが楽しみなのだ、と。
通院という、できれば行きたくない用事を、毎回ちがう宿に泊まる口実に変えている。60代の私には、これが効きました。
気づけば、着岸していました。
70分で、対岸に着きます

豊予海峡を渡ります。所要は約70分。船から振り返ると、前日に歩いた佐田岬が見えました。海に細長く突き出した、あの岬です。先端の灯台まで1.8kmを歩いたのが、まだ前の日のことでした。
話し込んでいるうちに、九州側が近づいてきました。9時30分に出て、佐賀関に着いたのは10時40分ごろでした。
前日まで四国にいて、昼前には九州にいる。車ごと運んでくれる船は、犬連れの旅ととても相性がいいと思います。
九州上陸。昼は「犬と入れる店」を検索して決めた
上陸してからの昼をどこにするか、決めていませんでした。そこでChatGPTに聞きました。
フェリーの到着地から宿泊先の間で、犬OKでランチのおすすめを教えて
返ってきたのが、大分県玖珠町の「ハウンズカフェレオン」。豊後森駅の前にある店です。

商店街の一角。すぐ横がバス停「森駅前」でした。

扉に「DOGS WELCOME」
入口の扉に、小さなプレートが付いています。「DOGS WELCOME(PEOPLE TOLERATED)」。犬は歓迎、人間は……まあ我慢してやる、という冗談です。犬連れの店だと、これだけで空気が分かります。
立て看板には、こう書いてありました。
- Lunch 10:00〜17:00
- Bar 20:00〜23:00(木・金・土・祝前日)
- 店内 Dog OK
- 本格エスプレッソ de カフェラテ/ピザ/Food グリーンカレーパスタ
看板のポスターには「DOG CAFE ON THE SECOND FLOOR」ともありました。ただ、私たちが通されたのは1階——通りから入ってすぐの、舞台のある広い部屋です。
店内は、まさかの舞台つき

入って驚きました。店の中に、かなり大きな舞台があります。ドラムもピアノもキーボードも、そのまま置いてある。

天井は木組みがむき出しで高く、奥にはバーカウンター。カフェというより小さなライブハウスに椅子とテーブルを置いたという感じです。
理由をオーナーに聞いて、腑に落ちました。ご自身がバンドをやっているのだそうです。7人編成。その演奏する場所を兼ねて、このカフェを始めた、と。夜がバー営業なのも、そういうことでしょう。
しかもオーナーは大阪出身でした。私たちは奈良から来ています。お客は私たちだけ。犬好き同士で、関西の話と犬の話で、すっかり長居してしまいました。
厨房には黒くて大きな、人懐っこい犬がいました。トリコは6kgの小型犬ですが、まったく物怖じしませんでした。
帰りぎわに、店内に貼る用の写真を撮っていただきました。こういうことがあるから、犬連れの旅はやめられません。

メニューの表紙に、店の犬たちが載っています。店長がダックスの「レオン」(2012年10月16日/だっこ大好き)、看板犬が「ジャン」(2024年3月27日/犬も人も大好き)。店の名前は、店長の名前だったわけです。
料理|看板にあったグリーンカレーパスタ

立て看板にわざわざ書いてあったグリーンカレーパスタ。海老ときのこが入っています。

もう一皿はトマトソース。パスタもコーヒーもおいしかったです。犬が入れる店は「入れること」自体が売りになりがちですが、ここは料理でもう一度来たい店でした。
トリコは、ソファ席で抱っこしたり、床に座らせたりしていました。ケージやカートは使っていません。
店の情報(犬連れで行く人向け)
| 場所 | 大分県玖珠郡玖珠町帆足241-11 One’s Place(豊後森駅の出口から1分、道路を挟んで斜め左) |
| 駐車場 | 店の専用駐車場は無し。駅横の有料駐車場(2時間まで無料) |
| 席数 | 16席(カウンター4・テーブル8・座敷4) |
| 🔴 犬 | カフェタイムは店内に入れます(リード・マナーベルト等の着用が必要)。バータイムは犬は入れません |
| 営業時間 | カフェ 10:00〜15:00(L.O.14:30)/バー 木・金・土 20:00〜23:00 |
ひとつ注意です。私たちが行った2026年6月の立て看板には「Lunch 10:00〜17:00」と書いてありました。いま出ている案内は15時までです。営業時間は変わります。とくに犬連れは、着いてから閉まっていたでは困るので、出発前に確かめてください。
🔴 犬連れの店は、探し方でほぼ決まる
この日のランチは、チャットAIに聞いて決めました。初日の徳島も、「犬と入れるレストラン 徳島」で検索して決めています。
犬連れの旅で「そのへんで適当に」が通用しないのは、経験のある方ならご存じだと思います。入れる店は、事前に決めておくしかない。そのとき、次の聞き方が効きました。
- 場所を「点」でなく「区間」で聞く……「◯◯市で」ではなく「フェリーの到着地から宿までの間で」
- 条件を1つに絞る……「犬OK」。ジャンルや値段は後回し
- 着いたら、営業時間と定休日は自分で確認する……ここが最後の砦です
「区間で聞く」は、車旅ととても相性がいい聞き方です。移動の途中にある店が出てくるので、寄り道の距離が最小で済みます。
オーナーに教えてもらった寄り道|豊後森機関庫
食べ終わって、まだ宿のチェックイン(15時)まで時間がありました。そこでオーナーに聞きました。「このへんで、どこかいいところはありませんか」
教えてもらったのが、すぐそこにある古い機関庫でした。
まず、豊後森駅

カフェから歩いてすぐ、久大本線の豊後森駅です。


待合室が、思いのほか立派でした。木造で、丸い照明が下がっていて、木のベンチが並んでいます。

ホームに出ると、向こうは一面の田んぼでした。

目当ての機関庫は、この線路の先、歩いて数分のところにあります。
扇形機関庫と転車台|近代化産業遺産

広い芝生の向こうに、コンクリートの巨大な弧が横たわっています。扇形(せんけい)機関庫です。蒸気機関車を扇の形に並べて格納するための建物で、真ん中に転車台(車両の向きを変える円盤)があります。

窓ガラスはほとんど割れていて、鉄骨がむき出しです。直したきれいな建物ではありません。使われなくなったまま、そこにあります。

碑にはこう刻まれていました。
- 近代化産業遺産(経済産業省認定 2009年2月)
- 「旧豊後森の関連遺産」扇型機関庫・転車台
- 柵内進入禁止——敷地内の構造物は古く危険なため立入らないで下さい(玖珠町)
柵の中には入れません。外から見る。それで十分な迫力があります。
蒸気機関車9600型29612号|長崎から来た機関車

機関庫の前に、本物の蒸気機関車が1両置かれています。


正面のプレートは29612。9600型、愛称「キューロク」です。

横の説明板に、この1両の履歴が全部書いてありました。読んでいるうちに、ただの展示物ではなくなりました。
| 製造 | 大正8年(1919年)1月27日 |
| 大きさ | 全長16.563m/全幅2.616m/高さ3.816m |
| 重さ | 60.35t(空車時)/81.85t(運転時) |
| 燃料 | 石炭6.0t/水15.5t(最大積載量) |
| 出力・速度 | 870馬力/最高65km/h |
| 総走行距離 | 2,667,675.5km |
地球1周が約4万kmですから、地球を66周した計算になります。
説明板には、こうも書かれていました。大正8年1月から昭和49年12月までの55年間、長崎本線や唐津線で旅客・貨物を運んだ。そして——
昭和20年(1945年)8月9日、長崎に原子爆弾が投下された時期には、多くの人、被災された方々を乗せて走り、人命救助や日本の文化の交流、経済の発展に多大な貢献をしてまいりました。
廃車になったのは昭和49年。その後は福岡県志免町の公園で保存されていましたが、平成25年(2013年)2月、老朽化による解体処分が公表されます。
そこから「もうすぐ製造から100年になる機関車を救ってほしい」という声が玖珠町に届き、志免町との協議のすえ玖珠町が譲渡を受け、福岡県直方市の汽車倶楽部が補修を引き受け、平成27年(2015年)6月にここへ——という経緯でした。

動輪もロッドも、間近で見られます。
犬連れで行くときの実際

機関車のすぐ横まで、犬と一緒に歩けます。公園全体が芝生で、リードを付けていれば問題ありません。

もっとも、トリコは機関車には一瞥もくれず、木の根元の草の匂いにずっと夢中でした。犬にはどうでもいいのです。

敷地のはしに「豊後森機関庫ミュージアム」という建物があります。案内板の内容はこうでした。
- 開館時間 10:00〜16:00
- 入館料 100円(小学生以下無料)
- 閉館日 月曜日(月曜が祝日の場合は翌日)、年末年始(12月29日〜1月3日)
- トイレは入館者以外の方も、開館時間中に使えます
私たちは、この有料のミュージアムには入っていません。外の公園と機関庫を見ただけです。犬を連れていると、建物の中に入るには誰かが外で待つことになるので、そうなりました。
ただ、トイレが誰でも使えるというのは、犬連れにはありがたい情報です。覚えておいてください。

周辺の鉄道史の案内板もありました。入場料なしで見られる範囲が広いので、犬連れの寄り道としては、かなり当たりの部類です。
地元の人に「どこかいいところは」と聞いて教わった場所が、これでした。ネットで調べた「観光地」より、店の人に聞いたほうが早い。前日、宿の方が役場に問い合わせて林道の状況を教えてくれたのと、同じことだと思います。
やまなみハイウェイは、たぶん通っていました
旅程表では、佐賀関から宿まではやまなみハイウェイを走ることになっていました。飯田高原、長者原、標高1,000mの高原道路です。
正直に書きます。通ったはずですが、走っている間、どこがやまなみハイウェイなのか分かっていませんでした。
ナビの案内どおりに走っていると、道の名前は意識に上りません。とくにこの日は、昼の店とその後の寄り道で予定が変わっていたので、なおさらです。
もし「やまなみハイウェイを走りたい」なら、目的地をナビに入れる前に、通りたい道を経由地として指定しておくことをおすすめします。ナビは最短を選ぶので、放っておくと絶景の道は通ってくれません。
——そして、この日の最後に、そのナビにひどい目にあわされることになります。
🔴 黒川温泉に、犬と泊まれる宿はほとんど無かった
この日の宿を決めるとき、最初に見たのは黒川温泉でした。九州の温泉地としては、いちばん名前の通ったところです。
ところが、犬と泊まれる宿がほとんど見つかりません。
黒川温泉は、細い谷筋に旅館が密集した、いわゆる「町全体をひとつの宿と考える」温泉地です。入湯手形を買って、あちこちの露天風呂に入って歩く。宿と宿が近く、共用の湯を歩いて回る前提の造りです。犬を連れて回るには、そもそも向いていません。
「黒川温泉 犬と泊まれる宿」で探している方には、先に言っておきます。選択肢は多くありません。そして、そういうときの答えはたいてい「隣」にあります。
🔴 数えてみました|30軒のうち、3軒だけ
この記事を書くにあたって、あらためて数えました。楽天トラベルの「黒川温泉・杖立」エリアに載っている宿は30軒(2026年8月時点)。1軒ずつ施設の案内を見て、「ペット同宿可」と書いてあるものを拾うと、こうなりました。
| 宿 | 場所 | 犬の扱い |
| 黒川温泉 やまびこ旅館 | 南小国町黒川(黒川温泉街) | 犬専用のゲージ施設「わん泊亭」(小型〜中型犬・要予約) |
| 小田温泉 旅館 花心 | 南小国町満願寺東長田(小田温泉) | 離れの客室に一緒に。1匹2,200円 |
| Rakuten STAY VILLA 阿蘇黒川 | 南小国町満願寺(阿蘇黒川) | ペット可は105号室の1室だけ |
3軒です。しかも、住所が「黒川」にあるのはやまびこ旅館だけ。あとの2軒は、となりの小田温泉と、少し離れた満願寺です。
そのやまびこ旅館も、公式サイトのわんちゃんのページにはこう書かれています。
小型~中型犬用にゲージ施設をご準備いたしました。犬専用・要予約
つまり、犬が泊まるのは「わん泊亭」というゲージの施設です。犬専用のお風呂まであって、シャンプーとドライヤーも置いてある(タオルは持参)。手厚いのですが、「客室に一緒に」とは書かれていません。条件は宿に直接ご確認ください。
もう1軒のRakuten STAY VILLA 阿蘇黒川も、楽天トラベルの注意事項に「ペットと泊まれるお部屋は『105号室』です」とあります。全棟ではなく、1室だけです。
ここまで調べて、あらためて思いました。「黒川温泉で、犬と同じ部屋に泊まる」は、いまのところ、ほぼできません。私たちが小田温泉に流れたのは、探し方が悪かったのではなく、必然でした。
※ 逆に言えば、小田温泉に泊まって、黒川温泉の湯めぐりに車で通うという手はあります。私たちは宿に着いたのが16時で、そのまま動かなかったので、黒川温泉街には行っていません。
だから、隣の小田温泉へ
黒川温泉のすぐ近くに、小田(おだ)温泉があります。熊本県阿蘇郡南小国町。黒川と同じ南小国町の中です。
ここで見つけたのが、小田温泉「旅館 花心(はなごころ)」でした。全室が離れで、それぞれに専用の温泉が付いている宿です。
🔴 Googleマップの案内が、ダート混じりの林道だった
宿の住所を入れて、案内どおりに走りました。そうしたら、途中から様子がおかしくなりました。
道がどんどん細くなり、しまいに舗装が切れました。ダート、つまり未舗装です。完全な林道でした。
ドライブレコーダーが回っていました。その映像から抜いたのが、次の3枚です。

その道を走っていたのは、15分ほど。長かった。すれ違える幅はありません。引き返す場所もありません。

わが家の車は三菱アウトランダーPHEV、車高のあるSUVです。それでも肝を冷やしました。普通の乗用車だったら、パンクは避けられなかったと思います。
しかも後ろには犬が乗っています。前日、剣山スーパー林道を「犬が乗っているから」と諦めたばかりでした。それなのに、ナビに言われるまま、結局は林道に入っていたわけです。笑い話になりません。

林を抜けると、いきなり草の斜面と青空が開けました。ここまで来て、ようやく「宿にたどり着ける」と思えました。
同じ目にあわないために
- 宿の公式の「アクセス」を先に読む。花心なら「九重インターより45分、日田インターより60分、熊本インターより90分」と書いてあります。この所要時間から大きく外れる案内が出たら、疑ってください
- ナビには宿の住所ではなく、最寄りの幹線上の地点を先に入れる。そこまで来てから宿へ切り替えます
- 「最短」より「大きい道」。山間部では、最短ルートは高い確率で林道です
- 舗装が切れたら、そこが引き返す最後の場所。先へ進むほど、転回できる場所が無くなります
無事に着いたから笑えますが、これは犬連れでいちばんやってはいけない部類の失敗でした。
この日の宿|熊本で犬と泊まれる宿「小田温泉 旅館 花心」

敷地に入ると、木立の中に小径が通っていて、その先に建物が点々と建っています。

全10室、すべて離れ。棟と棟の間が空いているので、隣の音は気になりません。犬連れにはこれが大きい。

車は離れのすぐ前まで乗り入れられます。駐車場は20台・無料。荷物の多い犬連れには、これも助かります。

部屋|1棟貸のメゾネット、73平米
予約した部屋タイプは「【露天風呂・内風呂】1棟貸メゾネット(73平米)」、プランは「熊本 南小国の四季を堪能する創作会席プラン(1泊2食付)」でした。

メゾネットなので、1棟が上下に分かれています。73平米を2人と犬1匹で使うので、正直もてあますくらいの広さでした。

窓の外に山が見えます。宿の案内には「全室より久住連山を見渡せる」とありました。
なお、この部屋にはテレビがあります。——これは笑い話で、この旅は前日の瀬戸アグリトピアがテレビ無し、翌日の五ヶ瀬の里キャンプ村もテレビ無しでした。テレビのある日のほうが少なかったのです。
部屋に、内風呂と露天風呂が付いています

まず内風呂。石を敷いた浴槽に、源泉がそのまま流れ込んでいます。湯口のまわりが茶色くなっているのが分かるでしょうか。24時間、源泉かけ流しです。泉質はアルカリ単純泉。

トリコは入口まで来て、中をのぞいて、それで満足していました。犬は湯には入りません。

そしてもうひとつが、この露天風呂。広いウッドデッキに、岩を組んだ浅い湯。横に寝椅子が2脚置いてあります。宿の説明には「広々としたウッドデッキ付【露天風呂】では満天の星が望めます」とありました。
部屋に風呂が2つ、どちらもかけ流し。そのうえ大浴場と共用の露天風呂まであります。ぜいたくです。
🔴 それなのに、朝晩2回しか入れませんでした
正直に書きます。入ったのは、夜と朝の2回だけでした。
着いたのが16時、夕食が18時。食事のあとは酒が入って眠くなり、翌朝は早く出ました。24時間いつでも入れる湯が、部屋に2つあるのに、2回。
もったいなかった。これがこの日の、いちばんの反省です。
教訓としてはこうなります。部屋に風呂が付いている宿を取るなら、その日は「移動を減らす日」にする。宿そのものが目的地です。私たちのように、フェリーで渡ってランチをして寄り道をして……とやると、いい湯があっても入る時間が残りません。
🔴 犬のルール|1匹2,200円と、証明書2種類
ペット可の宿ですが、条件があります。宿の案内から、そのまま書き出します。
- ペット1匹あたり 2,200円(税込)の宿泊代金が別途必要(3匹目からは半額)
- 🔴 狂犬病予防接種証明書と混合ワクチン接種証明書を必ず持参
- 入湯税 150円が別途必要
- 施設としてはドッグランあり(ペット同宿可)
証明書の持参は、犬連れの宿ではよく求められます。紙で持ち歩くのは面倒なので、わが家はスマホで撮った画像を用意しています。ただし原本を求められる宿もあるので、車にコピーを1部入れておくと確実です。
料金の話も、はっきりさせておきます。旅程表に残っていた確定額は47,090円(2名・1泊2食)。ここにペット代2,200円と入湯税150円×2人分が乗ります。安い宿ではありません。ただ離れ・専用の内湯と露天・かけ流し・2食付きで、犬も一緒。そう考えると、納得のいく額でした。
チェックインは15時、チェックアウトは10時、最終チェックインは20時です。夕食付きで18時以降の到着になる場合は必ず連絡、21時を過ぎて連絡がないとキャンセル扱い——これも案内に明記されています。あの林道でもっと手間取っていたら、危なかったかもしれません。
夕食は食事処で|創作会席
夕食は部屋食ではなく、食事処でした。

お品書きです。
- 食前酢
- 玉地蒸し 玉蜀黍(とうもろこし)添え
- 馬刺し
- 鮎の香草オイル焼き
- 鱧(はも)の天麩羅
- 夏野菜の揚げ浸し
- 赤牛・おおいた和牛・奥豊後豚・豊後鶏の焼肉
- 御飯・香の物
- ブルーベリーケーキ・柚子シャーベット

まずビールと、玉地蒸し。

馬刺し。熊本ですから、これが出ます。

鮎の香草オイル焼き。塩焼きではなく、ハーブとオイルで焼いてあります。

鱧の天麩羅。

夏野菜の揚げ浸し。

そして焼肉。赤牛、おおいた和牛、奥豊後豚、豊後鶏の4種類です。これを自分で焼きます。旅館の会席で肉が4種類出てきたのは、初めてでした。

デザートはブルーベリーケーキと柚子シャーベット。
料理もよかったのですが、給仕をしてくださった方が、とても感じのいい方でした。皿が変わるたびに少しずつ話をして、気づけばずいぶん長い夕食になっていました。宿の記憶は、料理より人で残るのだと思います。
話すうちに、実家は八代だと教えてくれました。
🔴 それから1か月半後の2026年7月28日16時27分、熊本で大きな地震がありました。気象庁が「令和8年熊本地震」と名前を付けた地震です。マグニチュード7.1、最大震度7。八代も、被害を受けた地域でした。(気象庁の特設ページ)
あの方が無事でいてくれたらと思います。名前も知らない、あの晩に何皿か運んでくださっただけの方ですが、この記事を書いているいまも、それが気がかりです。
🔴 朝食をキャンセルしました|高千穂峡のボートのために
このプランは1泊2食付きです。つまり朝食も付いていました。
ところが翌日、妻がどうしても高千穂峡のボートに乗りたいと言う。宿の方に相談したところ、返ってきた答えがこれでした。
5時ごろに出て、並ぶしかありません
高千穂峡の貸しボートには、当日の列ができます。ここから高千穂峡までは1時間半ほど。朝食を食べていたら、間に合わない。
というわけで、付いていた朝食を、こちらの都合でキャンセルしました。
そうしたら、宿がこうしてくれました。前夜の夕食で頼んだビール代を、サービスにしてくれたのです。
こちらの勝手な変更なのに、です。この宿のことは、たぶんこの一件でずっと覚えていると思います。
犬連れの旅では、こういう「予定の変更」がしょっちゅう起きます。早めに、正直に相談する。それだけで、宿は驚くほど柔軟に対応してくれます。
※ 黒川温泉のすぐ隣、九重インターから車で45分。全10室すべてが離れで、専用の内風呂・露天風呂付き。ペット可(1匹2,200円・証明書2種類が必要)です。
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- 食事4.59
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この日は、人とよくしゃべった日でした
振り返ると、3日目は人と話してばかりの日でした。
- 船で相席になった佐田岬の漁師さん——通院のたびに、別府で宿を変えて一泊する話
- 昼のカフェのオーナー——大阪出身で、バンドをやる場所を兼ねてこの店を始めた話
- 宿の給仕の方と会計の方——皿が変わるたびの、少しずつの話
全員、こちらから話しかけにいったわけではありません。犬を連れていると、向こうから声がかかる。あるいは「ここ、いいですか」と、こちらから聞かざるを得ない場面が増える。
犬は、人と人のあいだの垣根を下げます。旅程表に書けるものではありませんが、この日いちばん残ったのは、じつはこれでした。
3日目に分かったこと
- 国道九四フェリー(三崎→佐賀関)は毎時30分発、7:30〜23:30。本数が多いので、多少ずれても次に乗れます
- 🔴 ネット予約で安くなる。大人2名+乗用車5m未満1台で11,120円(事前決済なら10,790円)。概算より1,800円下がりました
- 🔴 出航30分前までに港に着かないと、予約が無効。犬連れは途中でトイレ休憩が入るので、早めに出ること
- 船のペットの扱いは会社ごとに違う。私たちはキャリーに入れて客室へ連れて上がりました。乗る前に確認を
- 🔴 久しぶりのキャリーは、まず入りません。前扉から押し込むのは無理でした。天面が開くタイプを選ぶこと。入れたあとも固まりましたが、同じ旅の帰りの船ではすんなり入りました
- 🔴 船室に椅子はありません。カーペット敷きに直に座ります。空いている区画にひと言断って座れば、キャリーも横に置けます
- 犬OKの昼食は「区間」で探す。「◯◯市で」ではなく「到着地から宿までの間で」と聞くと、寄り道が最小で済みます
- 寄り道は、地元の人に聞くのがいちばん早い。豊後森機関庫は、ランチの店のオーナーに教えてもらいました
- 豊後森機関庫は、外の公園と機関車だけなら無料。芝生をリードで歩けます。ミュージアムは100円・10〜16時・月曜休。トイレは入館者以外も使えます
- 🔴 「黒川温泉・杖立」エリアの30軒のうち、ペット同宿可は3軒だけ(2026年8月時点)。しかも黒川にあるやまびこ旅館は犬専用のゲージ施設「わん泊亭」。犬と同じ部屋に泊まりたいなら、隣の小田温泉です
- 🔴 山の宿へのナビは疑う。案内どおりに走ったら、ダート混じりの林道を15分。舗装が切れたら引き返すこと
- ペット可の温泉宿は、犬代と証明書が要る。花心は1匹2,200円+証明書2種類(狂犬病・混合ワクチン)
- 🔴 部屋に風呂が付いている宿を取る日は、移動を減らす。24時間かけ流しの湯が2つあって、2回しか入れませんでした
- 犬を連れていると、人のほうから話しかけてくれる。船でも、店でも、宿でも、そうでした
4日目は、朝5時に宿を出て、高千穂峡へ向かいます。妻がボートに乗り、私はトリコと遊歩道の上から見物。泊まりは五ヶ瀬の里キャンプ村のバンガロー——ここもテレビはありません。
→ 2日目:犬と佐田岬灯台へ|スーパー林道を諦めた日と、包丁が切れないログハウス
→ 1日目:淡路のドッグランから、徳島の一棟貸し「四季灯り」へ
→ 4日目:高千穂峡のボートは当日券で乗れた|予約を忘れて朝5時に並んだ記録



